概要
遺伝性の関節の病気で、この病気になると成長段階で関節軟骨の構造に異常が起こり、「骨瘤」とよばれる関節部がこぶ状に腫れた状態になり、正常な関節の運動が障害されて慢性的な関節炎の原因になります。
症状
四肢の腫れが特徴的な症状で、特にかかとの腫れが顕著な場合が多いです。関節部を触ると固くなっており、可動性も通常の猫よりも落ちている場合が多いです。軽症な場合は無症状ですが、重症化すると関節で炎症を起こし、足を引きずって歩いたり、足を挙げたり、高いところに登りたがらなくなります。
また、手根関節や尻尾の関節にも異常がみられ、尻尾では短く変形するのも特徴的です。
主にかかりやすい猫種
・アメリカンカール
・スコティッシュフォールド
・ペルシャ(チンチラ・ヒマラヤンも含む)
・マンチカン
予防
遺伝病のため予防することはできません。骨軟骨形成異常の遺伝子をもった猫同士の繁殖を避けることが重要です。
激かかりやすい猫種では、激しい運動を控え、室内の段差を少なくし、足にかかる負担を減らす環境を整えつつ、猫が症状を訴えていないか良く観察をして、症状が現れた場合は早めに治療をしましょう。
治療法
残念ながら骨の変化を治す、または抑えるための決定的な治療法はなく、主に関節炎の緩和などの対症療法が行われます。痛みがある場合は消炎鎮痛剤を使用して痛みと炎症を緩和します。
スコティッシュフォールドの特徴的な折れ耳は骨軟骨形成異常によるものです。これが行き過ぎると、耳以外の部分(関節や尾)に異常が起こります。
折れ耳のスコティッシュフォールド同士を交配させると高確率で骨軟骨異形成症を発症すると言われています。そのため、スコティッシュフォールドの繁殖は折れ耳の個体と立ち耳の個体を交配させることが一般的です。
ただし、耳が立っているように見えても実際には骨軟骨形成異常の遺伝子を持っていることもあるので、交配には注意が必要です。
ちなみに、多くの血統書団体ではスコティッシュフォールドとアメリカンショートヘア、スコティッシュフォールドとブリティッシュショートヘアの交配を許可していますが、その理由は骨軟骨形成異常を防ぐためです。