ここで言うホワイトとは、白斑遺伝子(パイボールド遺伝子)による部分的なホワイトではなく、白色遺伝子(ホワイト遺伝子)により全身がホワイトになることを指します。

この白色遺伝子は、猫の毛色を決めるあらゆる遺伝子に対して顕性(優性)という特徴があります。この白色遺伝子が作用すると、全ての色を隠してしまうので全身が真っ白になります。そのため、優性白色遺伝子とも言われています。

白いペンキで覆い隠された状態……と言うとかわいそうな表現なので、ホワイトチョコでコーティングされた状態と言っておきましょう。
このホワイト遺伝子による全身ホワイトの猫は、その猫が持つ毛色の発現が抑制されている状態で、体の中には本来の毛色が隠されているのです。

子猫のうちは頭頂部に色が付いている場合もありますが、大人になるとその色は消えてきます。この子猫の頃の頭頂部の色(キツンキャップ)で、その猫の本来の毛色を識別することもできるようです。

ホワイト遺伝子の遺伝の法則をまとめたのが、次の表です。

親猫の両方または片方がホワイトの猫だった場合は、ホワイトの猫も生まれるし、ホワイト以外の猫も生まれます。
両親ともにホワイト以外の猫だった場合は、ホワイト以外の猫しか生まれません。

白色遺伝子の猫には、先天的な聴覚障害が引き起こされる場合があります。そして、それは目の色にも関係しています。
ある研究では、目色がブルーではない白猫の聴覚障害発生率は17~20%、両目がブルーの白猫の聴覚障害発生率は65~85%との結果が出ているようです。
片目がブルー、反対の目がブルー以外の目色(オッドアイ)の場合は、目色がブルーの方の耳に障害が出ることが多いようで、その発生確率は30~40%ほどと言われています。