概要

体の中でおしっこをためる役割をしている「膀胱」で、さまざまな原因によって炎症が起きる病気です。
膀胱炎は繰り返しやすく、様子を見てしまうと尿道閉塞という命に関わる状態になってしまうことがあるため早期発見、適切な治療が大切な病気です。

症状

■血尿
おしっこが赤くなるのはもちろんですが、血が少量だと、おしっこの色はピンクやオレンジになることもあります。また、膀胱の中で固まった血がおしっこの中に点々と見えることもあるのでよく観察しましょう。

■頻尿
さっき行っていたのに、またトイレに入っているということはないですか?トイレに何度も出入りしている場合は頻尿の可能性があります。気を付けてみてあげましょう。

■トイレ以外でおしっこしてしまう
膀胱炎による残尿感で、トイレに間に合わずおしっこしてしまうこともあります。いつも使っているベッドが濡れていたりしませんか?確認してみましょう。また、残尿感が気になっておしっこの出口を頻回になめることもありますので、注意してみてみましょう。

予防

■できるだけストレスを与えない

猫はきれい好きでデリケートな動物といわれています。猫が安心して排泄できるトイレ環境を整えてあげましょう。
トイレの場所や数、トイレシーツや砂など、それぞれこだわりを持っていることがあります。できればお気に入りの環境を変更せずに維持してあげると良いです。
家に何頭も猫がいる場合、それぞれが安心できる場所を提供することでストレス軽減につなげることができます。
お気に入りの場所や遊び道具などを用意してみましょう。治療のところでも述べましたが、個々に合った適切な食事を選んで与えてあげてください。

■飲む水の量を増やす

飲む水の量を増やして排尿の回数が多くなるようにしましょう。
頻繁に排尿することで、尿が膀胱内に溜まる時間が短くなるので、膀胱炎の予防につながります。
ウォーターボウルを少し多めに設置するなどして、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。
水をあまり飲みたがらない猫の場合は、ドライフードだけでなくウェットフード(缶詰)と合わせてあげたり、ドライフードをお湯でふやかしてあげるなどして、食事から水分を摂れるようにしてあげると良いでしょう。

■食事を見なおす

膀胱炎のきっかけともなる猫の尿路結石の原因の多くは、尿がアルカリ性に傾くことでできやすい「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」です。
尿の中にマグネシウム、リン、カルシウムなどのミネラル成分が増えると、そのリスクが高まるので、こうした成分が少ないフードを与えるようにしましょう。

治療

■細菌性の場合

尿検査を行って細菌が検出された場合、その細菌に効果がある抗菌剤を使用します。
有効と判断された抗菌剤を、注射や飲み薬といった方法で使用します。
使用にあたっては、獣医師から指示が合った通りの用法・用量を守ることが重要です。
症状が改善されても膀胱内に細菌が残っているということがあるので、自己判断で投薬を中断するなどはせず、確実に細菌を排除するまで粘り強く治療に臨みましょう。また、細菌性膀胱炎によって尿中に結晶があらわれた場合、それに対応した療法食を使用することがあります。

■特発性の場合

特発性膀胱炎の場合、まず尿検査によって他の膀胱炎との鑑別を行っていきます。
一部の例では無治療であってもおよそ1週間程度で膀胱炎の症状が改善することがあります。ただ、原因がはっきりしない点があったり再発することが多かったりと、その対応に苦慮することがあります。特発性膀胱炎の治療として専用の療法食を使用することがあります。
前述の膀胱炎の予防を行って再発しないように注意します。