「動物愛護管理法」や「動物愛護法」、「動愛法」などと略されることもある「動物の愛護及び管理に関する法律」は、動物の虐待を防ぎ、動物を愛護することを通じて、命を大切にする心豊かな社会を築くことを目的としています。また、ただかわいがるだけでなく正しく飼養することで、動物による人への危害や周辺への迷惑を防止することも目的としています。つまり、「人と動物の共生する社会」の実現を目指した法律でもあります。そのため、飼い主の責任や危険な動物の飼養規制だけでなく、ペットショップやブリーダーなどが守らなければならない基準なども定められています。

ここでは、皆さんが猫を譲り受けるにあたり関係している部分について説明します。少し長くなりますが、とても重要なことですので、最後まで目を通していただきたいと思います。

都道府県知事や政令市長への登録が必要

ペットショップやブリーダー、ペットホテルなどを営む場合には、都道府県知事や政令市長への「第一種動物取扱業」の登録が必要です。この第一種動物取扱業には7つの業種があり、このうち「販売業」の登録をしていないと動物の販売をすることはできません。なお、第一種動物取扱業者は、氏名・登録番号・動物取扱責任者等が記載された「動物取扱業者標識」を掲示しなければなりません。

販売のための引き渡しは生後57日齢から

親猫や兄弟たちと一緒に暮らしている状態を見学することは問題ありませんが、販売のために生後56日齢以内(生まれた日は0日齢でカウント)の子猫を親猫や兄弟たちから引き離すのは禁止されています。つまり、子猫を譲り受けることを決めて、代金を支払ったとしても、子猫をお迎えするのは生後57日齢以降となります。なお、当キャッテリーではワクチン接種や離乳・しつけなどの理由から「子猫のお渡しは生後60日齢以降」という独自の基準を設けております。

子猫をお迎えするのは生後57日齢以降と法律で定められていますので、早く子猫と一緒に暮らしたいお気持ちはわかりますが、生後60日齢よりも前に子猫をお渡しすることはできません。

動物の販売には事前説明が必要

動物の販売や貸出しにあたっては、事前にその動物の特性や状態について説明し、お客様に理解いただくことが、ブリーダーに義務付けられています。この説明は、文書(電磁的記録を含む)などで行うこととされています。また、説明を聞き、その説明文書を確かに受け取った証しに、お客様から署名などをいただくこととされています。業者以外の一般のお客様に動物を販売する際には、この事前説明はお客様と対面で行わなければなりません。ご購入いただく前に、販売しようとする動物の状態を直接見て確認いただく必要もあります。さらに2019年の法改正で、事前説明は第一種動物取扱業の登録を受けた事業所で行うことが義務付けられました。

場合によっては遠くて当キャッテリーまで来るのが大変なこともあるかもしれませんが、親猫や子猫の生活環境を自身の目で確認することもできますし、わからないことは直接質問することもできますので、必ず当キャッテリーまで足を運んでください。

マイクロチップ装着の義務化

マイクロチップは、直径2mm、長さ8~12mmほどの細長い円筒形で、首の後ろの皮下に注入します。このマイクロチップにはアンテナとICが内蔵されていて、15桁の番号が記録されています。この番号を専用のリーダーで読み取ると、データベースに登録されている情報と紐付けて身元を確認できる仕組みになっています。地震などの自然災害をはじめ、盗難や事故、日常生活において我が子が迷子になってしまった場合に、再開できる確率が高まると言われています。

2022年6月より、業者が扱う犬猫へのマイクロチップ装着が義務付けられます。マイクロチップは、ブリーダーが誰かに販売するまでに装着せねばならず、所有者情報も登録しなければなりません。所有者が変わる度に、所有者情報の変更届を行う必要もあります。

つまり、2022年6月以降に迎えた猫にはマイクロチップが装着されており、お迎えした飼い主は所有者情報の変更届を行う必要があります。なお、2022年6月よりも前に迎えた猫については、マイクロチップ装着は努力義務とされています。

最後に

以上が、「動物の愛護及び管理に関する法律」で定められている内容のうち、皆さんが猫を譲り受けるにあたり知っておいていただきたい部分です。

これ以外にも、「動物の愛護及び管理に関する法律」には動物の飼い主の責務や罰則などについても定められています。法律や条例で定められているルールを守るのは当然の義務ですが、他人に迷惑をかけないよう、マナー向上にも努めて、人と動物の共生する社会の実現を目指しましょう。